わんわん電鉄

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【考察・解釈】スピッツ『白い炎』

 『白い炎』は、アルバム『惑星のかけら』に収録されています。

白い炎

白い炎

 

 

以下、長い前置きです。


ご存じの方も多いと思いますが、『白い炎』の歌詞カードにおいて 、「GAS」の部分が、ガスタンク車で表現されています。 初めてそれを見たときには、よっぽど「GAS」 を強調したいんだな・・・と、苦笑いでした。しかし、 今となっては、この曲は「GAS」の曲、といいたくなるくらい、 その「GAS」のイラストと「GAS」の字が強烈な印象を与えて いるように思うようになりました。この曲のポイントなのかもしれません。

 

 

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私事ですが、今年の冬はとにかく寒いので(数年に一度の大寒波! )、イワタニさんのカセットガスストーブを愛用しております。

(どんなものであるかを分かりやすくするため、Amazonのリンクを貼り付けています。)

 

はっきりと申し上げて、普通の電気ストーブよりも温かく(さすが「 火」!)、「電気代」もわかりやすい(1本○○円で△時間・・・ と、換算がしやすい!)、そして、ボンベの取り替えも簡単で( 手が汚れない!)、これぞまさに「文明の利器」 だと思っています(イワタニさん、ありがとうございます!)。


毎回、ガスボンベを手にするたびに-ボンベには、ゴシック体で「GAS」と書いてあるわけですが-、この『白い炎』という曲を思い出すのです。歌詞カードのフォントと、いつも使っているイワタ ニさんのガスボンベのそれとが、似ているからです。そのため、 この冬は、いつも「言葉をGASにして~」 と歌いながらボンベを取り換えています。

 


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前置きが長くなってしまい、申し訳ございません。


早速、『白い炎』について考えてみたいと思います。

 

イントロは、軽い歯切れの良い感じのギターと、リズミカルなクラ ップ音で構成されています。なんだかラフな感じとともに、「 これから始まるぞ!」というワクワク感がかき立てられますね。少し長めのイントロになっているのも、なんだか焦らされている感じ がしますね笑。

 

 

悲しみあふれても
怒りがはじけても
この日を待つことに心傾けてた

通説では、この曲はエッチな曲だと言われています。そして、私もそうとしか解釈できません・・・ということで、私もソッチの観点 から解釈したいと思います。

 


このAメロの歌詞は、すごいですよね・・・ハッキリ言って、男女交際の精神的なつながり・交流そっちのけで、交際を始めた時点か ら、ただただそれをする「この日」のことばかり考えていたという ことですよね。


しかも、ただ直接的に「待っていた」と言うのではなく、「待つことに心傾けてた」と言うあたりも、変態的ですよね。

もはや本人は 、そういうことをする日を待つこと自体を愉しんでしまっているの でしょう。そこに至るまで待つ、ということを目的とする・・・観点が凄いなと思います。

 

 

 

燃えろ!燃えろ!白い炎よ
まわせ!まわせ!地軸をもっと
言葉をGASにして

マサムネさんの歌声は、割とさらっと平淡に歌われているのに対し 、歌詞を見ると「!」が付いているんですね。


なぜ「白い炎」なのか、ということは、私も解りません。白というと、無垢なイメージがありますが、この曲の主人公が無垢な感じは しませんしね。ちなみに、炎色反応かな?とも考えてみましたが、 この曲にはあまりふさわしくなさそうです。

 

 

個人的に変態的ですごいなと思った点が、2つあります。
第一に、「地軸」という言葉です。ソッチ方面の曲だ!と思いだすと、この「地軸」は、そういう体勢なんだと容易に想像がつくから です。絶妙に傾いている「地軸」と、それは、絶妙にマッチする気 がするのです。


第二に、「言葉をGASにして」という表現です。お互いに、「言葉」であれやこれやと盛り上がっているのでしょう。その「言葉」 によって、さらに加勢する様子が、もちろん一般的に想像されうる 範囲でも思いうかばれます。

 

他方で、 歌詞カードのガスタンク車のイラストのおかげで、「言葉」 というひとつのまとまりを、ガスタンク(ボンベも含む)というひ とつのまとまりと同じようなものとして捉えて、「白い炎」 の源に充填しているんだなという(それこそ、カセットガスストー ブにガスボンベをはめ込むような)、ある種「機械的」 なイメージも思いうかびます。

すなわち、前者のイメージは、 人間的な営みであるのに対して、後者のイメージは機械的な営みであります。後者のイメージで考えてみると、もしかしたら、 主人公は「この日」を「待つこと」“だけ”に注力する人間で、「 この日」(以降)にスることには、 あまり興味がないのかもしれません。さらに推測すれば、「機械的に」言葉をGASにすることで、心伴わずとも頑張れている 、というようなタチの人間なのかもしれません。

いずれにせよ、くだらない考察ではありますが、個人的には面白いなと思ったポイン トの1つです。

 

 

ちなみに、仮にソッチの観点ではなく、より一般的な観点から捉えて、「この日」を自分の思いをぶちまける日! といったように解釈したとしても、このサビと2番のAメロでどん 詰まりですね・・・やはりソッチ方面の解釈のほうがしっくりするような気がする、そんな風に確信させるサビです。

 

 

なお、Aメロはさらさらと流れていくような感じだったのに対して 、サビは、リズミカルに、手拍子でリズムを刻んでいるようです。 ここは、“がんばれ!”と、手拍子で応援するような(誰が?)イメージが湧きました。

一応、「燃えろ!」「まわせ!」といった言 葉は、応援フレーズにもなりそうです。そして、「GASにして」 で、じわ~っと、だら~んと弛緩するようなイメージがあります。 この緩急のバランスが好きです。


個人的には、主人公は、同じリズムで、少し緊張しつつ、自分で自分を鼓舞しながら燃えて、まわして、そして、言葉をGASにして 頑張って・・・そのうち力が抜けてリラックス(「悟り」?) して・・・という感じなのかなと想像します。

 

 

宝貝ひとつで 覚醒できるのさ
悟りのエリアから
君に呼びかけてた

主人公の「覚醒」ポイントは、「言葉」と「宝貝」なんですね。
宝貝」とはなんぞや?と思い、画像を見てみたのですが・・・すごく美しいのですが、どうも卑猥なイメージですね、おそらくそういったものを隠喩しているのだと思います。そういったものを見ると、たとえ「悟りのエリア」にいようとも、元気になって、 もっともっと!となるのでしょうね。

 

 

ひからびかけた
メビウスの惑星(ほし)で
行き場のないエナジー
笑いの渦 正義の歳月が
焼け落ちればすぐに・・・

2番目のサビを挟んで、Cメロです。
メビウスの惑星」が「ひからびかけ」るとは、どんな状況なのでしょう。ちなみに、そのような惑星は存在していないようです。 しかし、「メビウス」(の輪)を、

細長い帯を1回ねじって両端 をはり合わせたときに、表裏の区別ができない連続面となる図形

とすると(∞のような感じでしょうか)、 永久に続く終わりなき場所、といったイメージが湧きます。

少し飛躍しますが、相手が「メビウスの惑星」で、(疲労などで) 「ひからびかけ」たなぁと主人公は感じているのかもしれません。 それでも、主人公は「エナジー」を持て余してしまっている、そんな状態を表しているような気がします。


もしそうだとすると、やはり人間の肉体は、無限の、終わりなき可能性を秘めたものであるような気がしてきます。もちろん、 やがて死を迎えるので、絶対的に「無限」だとか「終わりがない」 とは言えません。しかし、主人公が今いるその瞬間からすれば、 主人公の「エナジー」次第かもしれませんが、「GAS」 を供給し続ければ、いつまでも続けられるような無限性を感じられるような気がします。

 

先程の「機械的だ」という見方も、 無限性へと繋げて考えれば、心伴わず行為しているという、ある種マイナス方面とは反対のものとして考えられそうです。

 

 

「笑いの渦~」以下は、何が何だか全く解釈できません笑。何が「 正義」なのでしょう?みんなが思うところの正しさ・明るさを否定 して、自分達は独自の楽しさを追求していきますよ!という宣言的なものなのでしょうか。

 

すぐに・・・の直後、軽やかでシンプルなバッキングが続いていくところが好きです。また曲が仕切り直されたような感じと、 言葉の余韻が相まって、なんともいえない心地よさを感じます。

 

 

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以上が、『白い炎』の解釈と感想になります。

 

この曲の主人公は、「待つこと」だけに注力している人なのかと思いきや、それとともに、いくらでも、「言葉」やら「宝貝」 やらで無限に「エナジー」が湧き出てくるような超人だったということがわかり、驚いています。全くいやらしくないのが、 さすがマサムネさん!という感じです。