わんわん電鉄

好きな音楽は、鉄道の路線網のように広がっていくものだと思う

別れの季節に聴きたいスピッツの曲

タイトルから、「え?まだ2月なのに、"別れの季節"?」と思われた方も、いらっしゃると思います。

 

そうなんです、まだ2月なのに、"別れの季節"を考えてみようと思います。

 

というのも、私がこの時期を別れの季節だと思っているからです。学生時代、2月というのがひとつの区切りでした。中学校では、高校入試の期間に入るために授業がなくなり、高校でも、大学入試の期間にはいるために授業がなくなり、大学でも、春休みに入るために授業がなくなり……そうなると、実質的な別れの季節が大体1月~2月くらいになってくるのです。

 

卒業式にまた会えるね、と言っても、それは同級生との間ではそうですが、先輩方との間ではそれは難しかったから、尚更です。(実際、私はいわゆる"先輩信仰"の強い人間だったので、先輩の卒業式の方が、自分の卒業式のときよりも泣きました笑)

 

前置きが長くなりましたが、少し早い"別れの季節ソング特集"ということで、私が選ぶ、

別れの季節に聴きたいスピッツの曲

をご紹介します!

 

 

①若葉

若葉

若葉

定番中の定番ですね!スピッツの中で1番有名卒業ソングかもしれません。

 

この曲は、映画『櫻の園』(2008年)の主題歌にもなりました。この映画を見たことは無いのですが、女子高校が舞台になっているということで、青春とか友情といったものが描かれているのかなと思います。とすると、この映画に、この曲はピッタリですね!

 

この曲はメロディーから歌詞まで、すごく切ない曲です。

イントロのアコギのポロポロと鳴る音が、寂しさを感じさせるというか、涙腺を緩ませるというか……寂しい感じがします。


この曲の中で印象的なフレーズをいくつか取りあげてみたいと思います。

 

優しい光に 照らされながら あたり前のように歩いてた
扉の向こう 目を凝らしても 深い霧で何も見えなかった

冒頭のフレーズですが、ぱっと聴いてみて、「まさにその通りだ! 」と思いました。

 

「深い霧で何も見えなかった」というのは、将来のことを指していると思います。学生時代、とりわけ高校1,2年 くらいの間は、あまり将来を気にせず毎日を過ごしている感覚が強かったです。

 

なんとなく進級して、大学には進学するのだけれど、 その先の就きたい職業とか、どういう生活を送りたいか、といった将来についての具体的なビジョンって、その時はなかなか湧かないものです。「扉」は、卒業を示していると思います。

 

 

つなぐ糸の細さに 気づかぬままで

ここで一番泣けます!学生時代における別れの、一番の核心を突くフレーズがこれだと思います。


学校に行けば簡単にみんなに会うことができたけれど、卒業してし まえばバラバラになってしまい、会う頻度も少なくなっていってし まうものだと思います。学校が集合場所になっているわけですね。

 

ここで一つ余談ですが、私の学生時代の恩師に、先輩が卒業して、 会えなくなってしまうのが寂しくてどうしようもない、ということ を相談したのですが、その回答が非常に素晴らしいものでした。


『同じ敷地からいなくなってしまうというだけです』


実質的な縁が切れるというわけではなく、ただ同じ敷地にいなくなるというだけだと捉えれば、少し心が軽くなったような気がしたの を良く覚えています。

 

つまり、学校という同じ敷地にいたからこそ、毎日会うことができていたということが、「つなぐ糸の細さに 気づかぬままで」ということなのだと思います。なんて素敵な表現 なんだろうと思いました。

学校で仲間と過ごした楽しい時間というのは、ずっと続かないものであり、 まして彼らを結びつけるものが、同じ学校であるということだけだとしたら、本当にそれは「つなぐ糸」が細いですよね・・・。 切ないです。

 

 

学生の卒業式に歌ってほしいくらい、素晴らしい卒業ソングだと思います!
私も現役のときに歌いたかったです!(切実)

 


②不死身のビーナス

不死身のビーナス

不死身のビーナス

この曲は別れる男女を歌った曲だと思うのですが、その別れが“悲 しい”ものではなくて、“明るい”ものとして描かれているところ がポイントだと思います。


元気な別れ、後腐れない別れ、と称してもいいかなと思います。

 

 

雨降り朝までもう絶対泣かないで
知らないどこかへ行っちゃうその前に
二人で取り出そう 恥ずかしい物語を
ひたすら背中たたかれて バカな幸せ

このフレーズが一番好きです。“君”と別れる前に、二人の思い出を話していると、“君”に「キャハハ!何それ!」とか言われながら背中を叩かれている、という様子をイメージしました。

 

二人の思い出を「恥ずかしい物語」 と表現しているのも凄く良いなと思いました。なんだかこっぱずかしい、という感じなのですかね?綺麗な思い出ばかりじゃなくて、 喧嘩もたくさんしたし、人に話せば恥ずかしいようなこともたくさんあるのでしょう。


背中を叩かれて、それが嬉しい、幸せだ、と感じるのも、まもなくやってくる別れを感じているからなのでしょうね。

 

 

疲れた目と目でいっぱい混ぜ合って
矢印通りに 本気で抱き合って

目と目で混ぜ合うというのは、視線が濃厚に絡み合う感じ?という か、お互いの瞳に映るお互いの姿が、瞳に溶け込んでいくような感 じなのかなと思います。


別れる前に、ぎゅっと抱きしめ合うというところから、本当はお互いのことが大好きなんだろうなと思います。どういう原因で別れな きゃいけないのか分かりませんが、なんだか切ないですね。

 

 

最低の君を忘れない

これらのことを踏まえると、「最低の君」というのも、あえて「最低」と言っているだけなのかなと思えてきました。


仕方なく別れなきゃいけないんだけど、大好きだから忘れたくない んだけど・・・、あ、そうだ!記憶の中では「最低の君」 としておけば、忘れなくても未練はなくなるかもしれない!みたいな心理がもし働いていたとしたら、納得ですよね。あくまで想像の範囲内です。


曲調から、溢れ出るエンディング感がすごいですよね。是非、別れの季節、仕方なく別れなくてはいけない相手を想いながら、この曲 を聴くのもいいかもしれません。

 

 

魔女旅に出る

魔女旅に出る

魔女旅に出る

定番中の定番ですね!ストリングスが多用されていて、ロックバンドを超越して幻想的な世界観を創り出しています。私はこの曲が非 常に大好きです!

 

 

ちなみにライブ映像である『ジャンボリーデラックス』に、こちらの曲のライブ版が収録されています。こちらは、原曲よりも半音上 がっているのでしょうか?
マサムネさんの綺麗な声と、豪華な楽器隊が奏でる優しくも迫力の ある音が混ざり合って、素晴らしいんです!!!!是非!!!

ジャンボリー・デラックス~LIVE CHRONICLE 1991-2000~ [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 2001/06/06
  • メディア: DVD
 

 

 

手を離したならすぐ
猫の顔でうたってやる

このフレーズが切ないですよね~!「猫の顔」ということは、への字の口で、少し不機嫌そうな感じなのかなと思います。寂しいけれど、その寂しさを隠して、平気そうな表情をするんですね。 強がってますね!

 

 

ラララ 泣かないで
ラララ 行かなくちゃ
いつでもここにいるからね

実際の歌い方は、らんらんるらんらんるらんらーですよね。

この特徴的な歌い方が耳に残って、普段からよく口ずさんでしまいます笑 。やはりマサムネさんは天才です。

 

前半は僕の心情、後半は相手の心情ですかね。「いつでもここにいるからね」というフレーズは、旅立つ相手には心強い言葉だと思います。帰ってくれば、また会えるのですから。

“僕”も、相手がいつ帰ってきてもいいように、帰る場所を用意しておくというのは、 本当に男前だし、いつまでも相手のことが大好きなのだと思います 。

 

 

別れの切なさの詰まった曲なのですが、将来的にまた会えるような 、そんな希望も詰まった曲だと思います。

私も別れるとき、 相手に「いつでもここにいるからね」と言われたいですね!

 

 

④ローランダー空へ

 

ローランダー、空へ

ローランダー、空へ

この曲は個人的に、別れの季節に聴きたくなる曲なんです。
なぜなら、人と別れた時に、決まってこの曲がWALKMANから 流れてくるからです。自ら仕組んでいるわけではないのですが、気 づくとこの曲が流れています。

 

 

曲全体がもにゃもにゃと、ゆったりとしていて、どこか眠たくなると同時に、気持ちを緩ませてくれます。


もう二度と会えない人がいるのですが、その人のことを考えながら この曲を聴くと、なんだか涙が出てきます。

 

 

飛べ ローランダー
飛べ ローランダー
棕櫚の惑星へ 棕櫚の惑星へ たどり着くまで

あくまで個人的な主観ですが、「棕櫚の惑星」まで行けば、またあの人に会えるのかな・・・なんて思ってしまったりするのです。

 

 

また、一番好きなフレーズがこちらです。

「白い翼と 白いパナマ帽 渚の風を身体にまとう
夢を見たのさ」

「白い翼~まとう」と「夢を見たのさ」が、最初切れたフレーズだ と思っていましたが、一つにつながっていますね。

切れたフレーズだと思っていた私は、「夢を見たのさ」を聴いて、 「ああ・・・私も、あの人と一緒にいれた時間は、 まるで夢だったんだろうな・・・」と現実に引き戻され、 悲しむけれど、その見た夢を大事にしようと思えたのです。

 

前半は、自分の理想、夢であります。その状態になることを夢に見たということです。白いものを身につけ、海沿いにいたかったとい うことなのでしょう。“白”という色から、 なんだか儚いイメージが湧きます。

 

 

歌い方も気怠そうな感じがまた良く、独特な味をもつこの曲も、別れの季節のお供にいかがでしょうか。


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以上、別れの季節に聴きたくなるスピッツの曲、4曲をご紹介しました。

 

スピッツの曲は、曲の主人公の感情が丁寧に描かれていて、しかも共感しやすく、また時には聴き手の感情にも寄り添ってくれて、素晴らしい曲ばかりですね。

 

切ない気持ちとスピッツの曲との相性は、100パーセントと言っても過言ではないと思います!感情と結びついたら、一生離れない曲かもしれません。