わんわん電鉄

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【歌詞を丁寧に解釈!】スピッツ『日なたの窓に憧れて』

 『日なたの窓に憧れて』は、私がスピッツの曲の中で、1番好きな曲と言っても過言ではありません。


他にも“一番好きな曲”と言いたい曲もあるので、“一番好きな曲 たちの1つ”と言う方がより的確かもしれません。

 


この曲は、1992年に通算5作目のシングルとして発売された曲 で、3作目のアルバム『惑星のかけら』に収録されています。皆さんご存じだと思いますが、アルバム曲の方が、アウトロが長くて、 ピタッと最後音が止むんですよね。シングルの方は、 フェードアウトしていきます。

 

 

私が初めて聴いたのは、 アルバム曲の方でした。

日なたの窓に憧れて

日なたの窓に憧れて


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この曲を初めて聴いたのは、とある年の2月でした。

 

私のくだらない音楽の聴き方におけるこだわりとして、CD音源を聴く前にライブ音源を聴かない、という個人的な決まりがあります 。

 

いつもはその決まりに則って、CD音源を聴くまで我慢しているのですが、たまたまこの曲に関しては、動画サイトにアップさ れていたライブ映像を先に観てしまったのです。

 


そのライブ映像では、この『日なたの窓に憧れて』は、ゆっくりまったり、バラード曲として演奏されていて、「あ、この曲はおとな しい感じの曲なんだな。少し聴いただけだと、物足りない感じがする。」と思いました。

 


その後、CD音源をしっかり聴きました。
それを聴いたのは、静かな駅のホームでした。(きちんとヘッドホ ンを着けて聴いています。)
終始流れるシーケンサーの音によって、ポップな曲として演奏され た『日なたの窓に憧れて』を聴いて、鳥肌が止まらず、 ついホームを満面の笑みで走ってしまいました。(気持ち悪い)

 

「なんてこの曲は素敵なんだ!!!!」

 

シーケンサーの音は心地よいし、最初に観たライブ映像よりも曲の速さが速くて聴きやすいし、マサムネさんの声は綺麗だし、サビの ギターの真っ直ぐな音が綺麗だし・・・とにかく、それまで抱いていたこの曲に対するイメージが、ガラリと変わった瞬間を良く覚え ています。

 

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この曲は、バラード曲として、またポップな曲として、つまり2種類の方法で演奏される曲のようです。どちらの方法で演奏しても、 曲がすごく生き生きとしています。この曲は2つの顔を、 私たちに見せてくれているわけですね。

 

アコースティックバージョン(と私が考えているもの)

 

 

たとえば、世の中にはロックな曲を“アコースティックバージョン ”として、その曲をアレンジして演奏する方がいますが、正直な( 個人的な)感想を述べてしまうと、全然その曲には、アコースティックバージョンは合っていないなと思います。

「ただアコギで弾いているだけじゃない?曲の良さを潰しているんじゃない?」と思ってしまうことも多々あります。

 

 

しかし、この『日なたの窓に憧れて』は、バラード曲として、つまり大きく分けて言うとアコースティックバージョンで演奏されても 、本来の良さは潰されることがなく、逆にアコースティックバージョンならではの良さが引き出されていると思います。

 

 

2種類の味が楽しめるこの曲を作ったマサムネさんは、本当に凄いなと思います。もはや、別々の2曲であるといっても過言ではないかもしれません。

 

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この曲は、“君”に恋する僕の感情を歌った曲だと考えています。 この恋は、その段階では叶わない恋なのかもしれません。

 

 

この曲については、特に思い入れの強い曲なので、歌詞の全てを取りあげてみたいと思います。

 

 

 

君が世界だと気づいた日から 胸の大地は回り始めた
切ない空に浮かべていたのさ かげろうみたいな二人の姿を

冒頭のフレーズから一目惚れしてしまいました。

「胸の大地は回り始めた」というのは、ドキドキするようになったことを指すのか、 日々の生活が以前よりも輝き始めたことを指すのか、どちらかなと思います。

恋をするようになると、日々が輝いて感じる・・・ というのはありませんか?

 


「君が世界だ」というのもロマンチックですよね。君が好きだ、ではなくて、「君が世界だ」ですよ!自分の中が、“君”でいっぱい になるということなんだと思います。

 


「かげろうみたいな二人の姿」というのも、今の段階では片思いだから、まだはっきりと自分が“君”と付き合う姿を思い浮かべるこ とは難しいから、ぼんやりと『こんな感じかな~」と思い浮かべているのかなと思います。

 

 

 

すぐに 
気絶しそうな想いから放たれて

胸にズキューンと突き刺さるこのフレーズは本当に秀逸です。
想いが募って、どうしようもない状態を「気絶しそう」と表現してしまう当時の若いマサムネさんを想うと、トキメキが止まりません ね笑
しかし、本当に好きな人に対する想いが極限まで募れば、それはも う「気絶しそう」なくらい胸が苦しくなるものですよね。

 

 

 

君に触れたい 君に触れたい 日なたの窓で
漂いながら 絡まりながら
それだけでいい 何もいらない 瞳の奥へ僕を沈めてくれ

もうサビで想いが爆発してしまいましたね!このフレーズは、『プール』と雰囲気が似ているなと思います。

暖かな日差しの差す窓際 で、“君”に触れていたい、“君”と触れあったり、 じゃれ合ったり、ただ寄り添ったりしたい・・・そんな願望を表し ていると思います。

 


「それだけでいい 何もいらない」とは、“君”に好きだと言ってもらえなくてもいいから、ただ“君”に触れたいんだ、一生僕の片思いでもいい、ということを言っているように解釈してしまいました。

でも、触れさせてくれるなら、“君”の方も、僕のことを嫌っているわけではないと思うので、この解釈は違うかもしれませんね。

 

 

私がこの曲の中で一番好きなフレーズが「瞳の奥へ僕を沈めてくれ 」です。

「瞳の奥へ僕を沈める」ということは、“君”の瞳に僕しか映らなくなるということだと思いました。ずっと瞳に僕の姿が在り続けると言うことは、そういうことなんだと思います。つまり、 僕だけを見ていてほしい、という僕の願望なのでしょう。

この表現 がなんともロマンチックで、素敵で、キュンキュンします。

 

 

 

日なたの窓に憧れてたんだ 哀しい恋のうたに揺られて
落書きだらけの夢を見るのさ 風のノイズで 削られていくよ

日なたの窓に憧れてたんだ」というのも、当時マサムネさんが日の当たらないアパートに住んでいたからではないか、 という有名なエピソードがありますね。

 


「哀しい恋のうた」とは、失恋ソングとか、叶わない恋の歌とか、 切ない片思いの歌とか、そういった類いのものかなと思います。ちなみに私の中の「哀しい恋の歌」は、小林明子さんの『恋におちて 』です。

 


「落書きだらけの夢」というのも、色んな願望や思いがぐちゃぐちゃに混ざり合っている様子を指しているような気がします。 まるで子供の落書きのように、ぐちゃぐちゃと、色んな気持ちや期待が混ざり合っているようなイメージです。

 


「風のノイズで削られていく」とは、現実の音(街中を走る車の音や人の歩行音といった、日常生活における騒音によって、 夢からだんだん醒めていって、現実に引き戻されていくということを表しているのではないでしょうか。

 

夢を物理的に考えるならば、 そのノイズが夢の表面の皮を剥がしていくことで、現実がむき出しになってしまう・・・というのを想像しました。少し分かりにくい 説明でごめんなさい。

 

 

 

いつも
僕の欲しいのは 優しい嘘じゃなくて

分かります!!口先だけの、慰めみたいな「うん、好きだよ~」みたいな言葉を貰っても、逆に傷ついてしまうこともありますよね。

 

 

 

君に触れたい 君に触れたい 日なたの窓で
漂いながら 絡まりながら
それだけでいい 何もいらない 瞳の奥へ僕を沈めてくれ

2回目のサビです。優しい嘘や言葉ではなく、君に触れられるという事実が欲しい、ということなのでしょうね。ますます切なくなってしまいます。

やはり、“君”が僕を本当に好きになってくれなく てもいいから、ただ“君”に触れたいんだ、という強い願望を僕は持っているように思います。

 

 

 

メリーゴーランド メリーゴーランド 二人のメリーゴーランド
メリーゴーランド メリーゴーランド 二人のメリーゴーランド
ずっと このまま ずっと ずっと

ここの部分が一番解釈が難しいですよね。他の方の解釈を見てみたら、“君”は僕の手の届かない存在であるということを、メリーゴ ーランドは表しているのではないか、という解釈がありました。

 

 

私の解釈はその逆で、ずっとこのまま二人だけの世界が続いて欲しいという願望を表しているのではないかと思いました。

 

メリーゴーランドとは、決まった台数の乗り物が、決まった軌道の上を、ぐるぐると廻る遊具ですよね。そして、廻っている間は、 他の誰も乗り込むことはできません。(廻っている最中に乗り込も うとすることは、大変危険です!)

 

“君”と僕は、 メリーゴーランドに乗っていて、他の誰も乗り込んできて、 邪魔することはないわけです。つまり、ずっと二人だけで、メリー ゴーランドに乗っているということなのでしょう。また、廻るということは、時間の経過を表しているような気がします。なぜなら、 時計の針も同様にぐるぐると廻るものだからです。

 

すなわち、 まとめると、邪魔の入らない、二人だけの世界がこのままずっと続けば良い、ということなんだと思います。

 

 

このフレーズを聴くと、夜の遊園地の、オレンジ色に光ったメリー ゴーランドを彷彿させます。あの景色って、なんだか心の奥底にあ るなんとも言えない感情を呼び起こしますよね。切なさ? 感動しすぎて泣いてしまうような、あの感情です。

 

 

 

君に触れたい 君に触れたい 日なたの窓で
漂いながら 絡まりながら
それだけでいい 何もいらない 瞳の奥へ僕を沈めてくれ

最後の大サビでは、半音上がって、さらに盛り上がるとともに、切なさが倍増します。とにかく気持ちが爆発している感じですね。

 


曲の最後が、「瞳の奥へ僕を沈めてくれ」で終わるのも良いですね 。印象的です。とにかく、“君”の瞳から、僕が消えないように、 ずっと“君”の瞳の中にいたい、そんな強い願いが、 この曲の最後に響き渡って、本当に切ない気持ちになります。


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この曲は、歌詞といい、メロディーといい、マサムネさんの歌い方といい、演奏といい、ポップなシーケンサーといい、 どこをとっても素晴らしい曲です。名曲中の名曲ですね。

 

 

あの曲の終始流れ続ける、シーケンサーピッポパッポピッピポパッポという音が本当に好きなんです。すごく耳に残りますよね。 切ない気持ちを、ポップな曲調に乗せて歌っているところもまた好きです。

 

 

イントロとアウトロで、シーケンサーの音が流れている上に、途中 でギターのジャジャーンと音が入りますが、それがまた良いアクセ ントになっていますよね。力強い音のためか、真っ直ぐな 日が差してくるような感じがします。

 

 

異常に熱く語ってしまいました笑


本当に本当に素晴らしい曲なので、切なさに浸りたい人も、そうでない人も、この曲をまだ聴いたことがない人も、みなさん是非お聴 きください!
 

最後に、この曲がリリースされた頃に、スピッツが出演した番組の動画を載せておきます。曲は、4:13からです。