わんわん電鉄

好きな音楽は、鉄道の路線網のように広がっていくものだと思う

【考察・解釈】スピッツ『YM71D』※3/3追記

アルバム『見っけ』に収録されている曲です。

YM71D

YM71D

タイトルがあまりに奇抜で、アルバム発売が発表された時点では、 なんと読むのか分かりませんでした。

 

当初から既に、読み方を推理できている方がたくさんいて、凄いなと思いました。

ちなみに私は 、この曲の次の曲である『快速』につられて、『YM71D』 という列車番号だと思っていました笑 YMという路線の、71番の、ディーゼル車みたいな・・・笑

 


いずれにせよ、この曲のタイトルの読み方は“やめないで”でした 。
タイトルから、エロの匂いがしてきますが、一体どうなんでしょう か。

 


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イントロには、カッティング?ミュート?が多く使われていて、歯切れが良くなっているともに、少し大人っぽいと言うか、洒落た感 じがします。おしゃれなバーとかのイメージが湧いてきます。

 

このイントロを聴いて思いついたのが、スピッツの『Holiday』です。この曲もイントロで、歯切れの良い、カッティング? が多用されているようです。

HOLIDAY

HOLIDAY


さらに、他のアーティストでいえば、レミオロメン『虹色』という曲のイントロにも、ギターのこういった技法が多用されています。

 

虹色

虹色

  • 発売日: 2019/10/01
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

この技法は、曲の雰囲気を少し大人びたものにする効果がありそう です。


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誰かと一緒にいたいけど 誰でもいいわけじゃなく
演じてた君に恋して 素の君に惚れ直して

冒頭から、すごくわかりみの深いフレーズです笑。

そうなんです、 一人は寂しいし、「誰かと一緒にいたい」と思うんだけれど、「誰でもいいわけじゃな」いという・・・この葛藤です。


「演じてた君」と「素の君」というのは、人前での態度と、二人きりになったときの態度が違う、ということなんでしょうね。例えば 、大勢の人が集まる飲み会では、デキる風の女性を演じているけれど、主人公と二人きりになったときは、 だめな部分を見せてくれて、甘えてくる・・・ みたいな感じでしょうか。


人前で演じている君が素敵だと思っていたら、素の君を知ってます ます惚れてしまうという、漫画によくありそうな(?) パターンです。素敵ですね!

 

 

 

 

平和だと困る街 駆け抜け
新しいヨロコビが ここにある

「平和だと困る街」について、2番の歌詞に「反則の出会いなんだし」という歌詞があることもあって、この曲の2人は、 不道徳なこと、人にとがめられるようなことをしているんじゃないかと思いました。ざっくり言ってしまえば、不倫ですね。ただ、 主人公には、結婚相手や恋人もいなそうなので、相手の女性に結婚相手がいるというパターンの不倫だと思っています。

 

 

自分達は、人から非難されるようなことをしているからこそ、その罪を紛れ込ませるため(目立たないようにするため)に、自分以外の他者も悪いことをしていて欲しい、ということなんだと思います 。

要するに、街でいろいろな悪いことが起こっていれば、自分達の罪のある行為も、ちっぽけなものになってしまうだろう、というこ とではないでしょうか。

 

 

「駆け抜け」という行為からも、自分の中の罪悪感から逃げるよう にして走っていることを表していると思います。

 

 

こういった、不道徳な、とがめられるような悪いことの中に、主人公は喜びを見いだしてしまったのでしょうね。それこそまさに、「 新しいヨロコビ」ですね。

また、この喜びを「新しい」 と言っていることから、この主人公はこれまで悪いことをしたこと がなかったのだと思います。

罪の意識が喜びを増長させますねぇ。(笑

 

 

 

 

やめないで 僕らまだ 欠片すら 手に入れちゃいないさ
初めては 怖いけど 指と指 熱を混ぜ合わせよう
uh....uh...


この部分は、もう完全にエロを表現しているということで良いと思います。

 

「やめないで」は、主人公の台詞なのでしょうか。だとしたら、そういう行為をやめないで、なのか、それとも相手の女性が怖じ気づ いて、そういうことをするのはやめよう、と言ってきたのに反対す るために、やめないでと言ったのか・・・いろいろと妄想が膨らみ ますね。

 


サビの一言目がこの「やめないで」って、なかなかパンチが強いですね・・・。

 

 

「欠片」とは何でしょうね。肉体的な絆なのか、お互いの気持ちを 確かめ合うことなのか、気持ちよさなのか・・・分かりませんね。

 

 

「初めては 怖いけど」って、すご~く可愛いですね。マサムネさんが歌っているという事実が、さらにこの台詞の可愛さを増長します・・・(変態的目線でごめんなさい。)

 

 

「初めて」なのは、主人公がそういうことをするのが初めて、とい う訳ではないと思うのです(もちろんそう考えてみてもかわいらし い)。おそらく、肉体的なつながりをもつことについては、この瞬 間が初めてであり、罪悪感もあるから少し躊躇もしていて、怖じ気 づきながらも、そういうことに踏み切ろうとしている、ということ を表しているのかなと思いました。

 


他の方もおっしゃっていましたが、「指と指 熱を混ぜ合わせよう」という歌詞がこの曲の中で最高にエロさを感 じますね。
私達スピッツファンはもう慣れきってしまいましたが、マサムネさんは、少しエロい歌詞も、涼しいお顔で歌ってしまうという・・・ 早くライブ映像を観たいですね・・・。

 


この曲のサビは、どーんと盛り上がるようなものではなく、Aメロ Bメロと同じ調子で歌われるものです。それゆえ、一見冷静なんだ けど(曲は平淡)、心はもうすごく情熱的(歌詞がエロい) というギャップを感じますね。

大人なスマートさを持ちつつ、心は野獣……みたいな感じとも言えるかもしれません。

 

 

 

 

反則の出会いなんだし 目立たぬようにしてたけど

きまじめで少しサディスティックな 社会の手ふりほどいた 

 

「反則の出会い」ということは、正しい出会い方ではない、ということですよね。私が最初に思いついたのは、同窓会です。同窓会マジックとかで、懐かしい恋愛につい走ってしまう人もいるかもしれません。しかし、同窓会は、あくまでも中学や高校において一定のつながりがあった人であり、もともとの知り合いです。この曲における、君と主人公は、もともと知り合いなのでしょうか…?

 

どういう点で「反則」なのかが分からないので、なんとも言えないですね…。ただ、仮に不倫だとすれば、君は結婚相手がいるにもかかわらず、合コンに来ていたとかなんですかね?ますますわかりません笑

 

やはり、自分達が出会って恋に落ちたことが、社会的には認められないことである(不道徳な行為)であるということを、自らきちんと認識していたんですね。だからこそ、「反則の出会いなんだし」と言い訳がましく言ったり、「目立たぬように」したりするんですね。

 

 

社会的に認められないことであるという認識があるということ=社会は不道徳な者に対しては厳しく対応する、社会は生真面目なものであるという認識をもっていること、になると思います。今は、不倫とか、浮気とかに対する社会の目は厳しいものですよね…。

 

 

自分たちの、いわば"いけないこと"を肯定しようとするために、「社会の手」を振りほどいたんだと思います。(それか、自暴自棄になっている?)振りほどくということは、力づくで手を離させる、ということですよね。そこに、主人公たちの『社会から批判されようともいいんだ!』という強い意志を感じます。

 

 

それにしても、「社会の手」という表現がまた秀逸ですね!「社会の手」が自分の手を引っ張って、『そういうことはしちゃだめだよ!』と忠告しているイメージでしょうか。「社会の手」は、もちろん社会そのものを表現していると思いますが、他にも、社会的なしがらみとか、縛りとか、道徳とか、自分の社会的な体裁とか、そういうものも表現していると思います。

 

 

 

 

言霊を信じれば 開けるでしょ

王様は裸です!と 叫びたい夜

 

1番でもそうですが、ここの部分(Bメロ)には声のエフェクトがかかっていて、曲のアクセントになっていて良いですよね。誘惑的な部分ですね…。

 

 

「言霊」は、なにを言っているのでしょうか。

あくまでも個人的な想像ですが、『二人は出会うべくして出会ったんだから、運命的に二人は結ばれている』といったような言葉の力を信じて、未来が開けるのを望んでいるのでしょうか。

 

 

「王様は裸です!」も、何を表現しているのでしょうか。

そのままの言葉だけで取れば、まぁ主人公が裸になっているということでしょう。しかし、そこまで表面的で浅いものではないと思うんです。

となると、主人公(=王様?)が『言霊を信じればいいんだよ!』とか言っているのに対して、君が『そんなわけないでしょ!実際はそんな風にはいかないんだよ!現実を見たほうがいいんじゃない?』と言っているシーンが思いついたのですが…あくまでも個人的なイメージです。これでは痴話げんかになってしまい、曲の甘い雰囲気には合いません。却下します(笑)

 

 

 

 

やめないで 長すぎた 下りから ジャンプ台にさしかかり

マグレにも 光あれ どこまでも 飛べるはずさ二人

uh....uh...

ここも、そういう行為中のことでいいと思います。「長すぎた下り」というのは、あまりよくない状態(萎えそう…冷めそう…という感じ?)を指しているのでしょうか。仮にそうだとしたら、先ほどの部分の痴話げんか説(「社会の手」を振りほどいてしまったために、けんかが起きてしまった)もいけなくないかもしれません。(無理やり)

 

いずれにせよ、下りの部分が長かったとはいえ、二人は最高頂へと登っていくようです。「マグレにも光あれ」とは何でしょうね。私としては、「反則の出会い」からこういう関係にまでなれたことを、ひとくくりに「マグレ」なこと、つまりラッキーなことを捉えていて、それがこれからも続くようにと願っているのかなと思いました。

 

 

この後の間奏がまたおしゃれですよね。個人的に、ピロピロと鳴るような感じのギターのフレーズがすごく好きです。

 


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以上、『YM71D』についての考察・解釈をご紹介しました。
もしかしたら、この曲が『見っけ』の中で一番エッチな曲かもしれ ませんね。

 

前アルバム『醒めない』に収録されている『ガラクタ』と同じ匂い(不倫系!?)がするのは、私だけじゃないはずです…笑

 

この暗号のようなものを思いついたマサムネさんは、凄いですね。


エロくなさそうで、エロい曲。

工夫がたくさん詰め込まれた素晴らしい曲だと思います。